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宮崎大学農学部 稲葉研究室

InabaLab.通信

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InabaLab.通信

2010.10.01

セミナーの案内【松林嘉克先生・10月26日】

 来る10月26日、農学部の水光正仁先生・榊原陽一先生との共催で、名古屋大学・松林嘉克先生のセミナーを開催します。興味のある方はご参集ください。

 松林先生は、かれこれ15年来の友人(先輩)で、学生時代からお世話になっています。「植物にはペプチドホルモンは存在しない」と考えられていた時代に、ペプチドホルモン「ファイトスルホカイン」を発見し、その後もファイトスルホカイン受容体や別の植物ホルモンを発見されています。当時学部生だった私には研究のインパクトまでは分かりませんでしたが、別の先輩が「松林がすごい発見をした!」と興奮気味に話をしていたのよくを覚えています。今回は、昨年、PNASに報告されたチロシン硫酸化酵素のお話と、最近、サイエンスに発表された新しいペプチドホルモンのお話をしていただけるものと思います。

日時:2010年10月26日(火) 午後3:00から

場所:宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門遺伝資源分野 一階セミナー室(場所

演題:翻訳後修飾に着目した新規ペプチドホルモン探索

要旨

 近年,高等植物において比較的短鎖の分泌型ペプチドを介した細胞間情報伝達機構の存在が次々と明らかになりつつある.こうしたペプチドホルモンの中には,翻訳後修飾やプロセシングを受けることではじめて本来の機能を示すものが少なくない.そのため,翻訳後修飾酵素の遺伝子を破壊すると,その支配下にあるすべての修飾ペプチドホルモンが活性を失い,結果的にその総和が表現型として表われる.したがって,翻訳後修飾酵素の欠損株の表現型を詳細に解析すれば,未知のホルモンの存在に気付くことができる可能性がある.

 我々は2009年に,シロイヌナズナにおいて,翻訳後修飾酵素のひとつであるチロシン硫酸化酵素(tyrosylprotein sulfotransferase, TPST)を同定した.TPSTは,ゴルジ体に局在する1回膜貫通型酵素であり,シロイヌナズナには1コピーのみ存在する.動物にもTPSTは存在するが,アミノ酸レベルでの類似性は全くないことから,植物と動物は進化の過程で独立してTPSTを獲得したと考えられる.この研究の過程で,我々はTPST遺伝子を破壊したシロイヌナズナ植物体(tpst-1)では,根端において未分化な幹細胞が維持されず,細胞分裂活性も顕著に低下するため,根が極端に短くなることに気づいた.この表現型は,既知のチロシン硫酸化ペプチドホルモンであるPSKとPSY1の培地への添加では回復できなかったことから,幹細胞の維持や細胞分裂活性の制御に関与する未知の硫酸化ペプチドホルモンの存在を強く示唆している.

 そこで我々は,既知のチロシン硫酸化ペプチドの硫酸化モチーフ配列を参考にしたin silico遺伝子スクリーニングとnano LC-MSを用いた成熟型ペプチド構造解析,およびtpst-1を用いたバイオアッセイによって,幹細胞の維持および根端分裂組織の活性制御に関与する硫酸化ペプチドをスクリーニングした.その結果,tpst-1の表現型を回復させる新しい硫酸化ペプチド群(Root meristem growth factors: RGF)を見出した.RGFペプチドファミリーは根端の幹細胞に隣接する静止中心細胞およびコルメラ幹細胞付近で主に発現しており,1 nM程度の低濃度で活性を示した.シロイヌナズナには9種類のRGF遺伝子が存在するが,それらのうち3種類を破壊した植物体では,根端分裂組織における細胞分裂活性の低下が確認された.これらの結果から, RGFペプチド群は,分泌型シグナルとして幹細胞の維持および根端分裂組織の細胞分裂活性の制御に関与していると考えられる.

 翻訳後修飾酵素遺伝子破壊株の表現型に着目することで,これまで見過ごされていた新しいペプチドホルモン群を見出せることが実証された.

参考論文

 Science (2010) 329:1065, Proc Natl Acad Sci USA (2009) 106:15067, Nat Chem Biol (2009) 5:578, Science (2008) 319:294, Proc Natl Acad Sci USA (2007) 104:18333, Annu Rev Plant Biol (2006) 57:649, Science (2002) 296:1470. ほか

2010.09.28

新型人工気象器が導入される!

 ラボに新しい人工気象器が導入されました。これまで、植物を育てる場所が不足していて、これがネックになっていました。そこで、思い切って新型の人工気象器を導入!一気に栽培面積が広がりました。これまで持っていた人工気象器では、三台あわせてトレー12枚分くらいしか育てられませんでしたが、今度の人工気象器は一台で24トレーもいけます。まだ買ったばかりですが、これはいい買い物でした。これで実験が一気に進められると嬉しいです。

 

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照明が輝く新型人工気象器

 

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稲葉研究室の人工気象器が勢揃い

2010.09.15

蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウムに参加

 9月9日から11日まで、「第34回蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム」に参加してきました。このユニークなシンポジウムは、ゴードンカンファレンスのように寝泊りしながらざっくばらんな議論をしようという会で、初参加でしたがとても気に入りました。私も一般講演をさせていただきましたが、今回は話題的に細胞内シグナル伝達と遺伝学の話になってしまいました。それでも、久しぶりにいろいろな人とディスカッションでき、おかげで「とある実験をしよう」という気になりました。

 最近のボヤキは電気代です。常時稼動する人工気象器は、かなり電気を食うようです。想定範囲内のMAXくらいになってきました・・・・。

2010.08.30

ラボが発足して半年経ちました

 3月1日に着任したので、今月末で半年が経ちました。早いものです。

 最近はすっかりラボらしくなって来ました。プライマー設計からデータ解析までやってバリバリ結果を出してくる矢津さん、数年先に成果を期待している研究の下ごしらえとラボマネージャー業に励む安達さん、そしてラボの慢性的な金欠病を解決すべく執筆活動と書類書きに励む稲葉(この人の生産性が最も低い!という苦情が聞こえてきそうですが・・・)、というのがラボの日常風景です。

 研究成果も、思わぬ総説執筆が舞い込んだり、予想外にすんなりアクセプトされる論文が出たりで、今のところは順調に増えてきました。今年のこれまでの成果・5編(うち、ラストオーサー・責任著者は3編)は全て宮崎大学IR推進機構からの発表で、被引用がすでに出てきました。

 今年の残りの目標は、某ジャーナルから依頼をいただいたレビューをきっちりpublishまで持っていくこと、そして出てきた結果を元に細かな研究計画をもう少し詰めることでしょうか。レビュー執筆のおかげで、だいぶ頭が整理できたようにも思えます。

 

2010.08.20

後半戦に入りました&業績追加

 お盆をはさんですっかりブログ更新が滞っておりました。いよいよ2010年も後半戦です。実りの秋にしたいところです。実験が本格化し、毎日皆忙しくなってきました。

 その間に、研究成果が二件追加になりました。一件はMethods in Molecular Biology、もう一件は「バイオサイエンスとインダストリー」です。Methods Mol Biolは当プログラムで私のアドバイザーを務めてくださる恩師のSchnell先生との共同研究、そしてバイオサイエンスとインダストリーはOBの柿崎さんとの共同研究成果です。さらに、後者は矢津さんのデビュー作でしょうか?これから徐々に、現メンバーの貢献が研究成果に出てきそうです。

 

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